当日にあわてない!振袖の着崩れが起きてしまったときの対処法とは
一生に一度の晴れ舞台である成人式。振袖を着るなら美しい姿でいたいですよね。しかし、きれいに着付けてもらっても、着崩れてしまうことがあります。対処法を知らないとあわててしまい、大切な1日を楽しめずに終わってしまうかもしれません。今回は、振袖が着崩れてしまったときの対処法を解説していきます。
事前対策をしよう!着崩れを起こす原因は?
振袖で長時間過ごしていると、少しずつ乱れてしまうものです。しかし、着崩れには原因があります。原因を知って着付けや準備の段階で対策をし、着崩れを防止しましょう。
体形補正の仕方
美しい着付けには土台作りが重要。寸胴のような体形がよく、それに合わせ体形を補正していきます。胸のボリュームをおさえたり、タオルを使い、ウエストや鎖骨周りを埋めたりすることで、体の凹凸をなくしていきます。私たちの感覚だと、「太って見えそう」「スタイルが悪くなりそう」と心配になってしまいます。
しかし、寸胴のような体形こそ、シワがなく美しい振袖姿をつくるポイントです。シワは着崩れの原因にもなるため、体形補正は大切です。ここは着付け師の技に任せ、基礎づくりをしましょう。
腰ひもの締め具合
腰ひもは着付けの生命線です。締め具合で着崩れするかどうかが決まってきます。長襦袢や腰ひもをしっかりと締めていないと、晴れ姿も残念な状態に。しかしお腹をギュッと締めつけられるのは、苦しくて辛いですよね。
辛い状態のまま、我慢は禁物です。苦しくなるのは、締める位置が合っていない可能性があります。へそのすぐ下には、ひもを締めても苦しくない場所が存在します。着付けのときに苦しさを感じたら、着付け師に締めるポイントを相談してみましょう。
所作
着付けにおいて重要なのは、体形補正と腰ひもです。2つのポイントをおさえていても、着崩れてしまうことがあります。原因のひとつとして挙げられるのが所作です。振袖での所作は美しさや、上品さを演出するだけではなく、着崩れ防止にもなります。控えめで美しい動きを意識してみましょう。
草履のサイズ
振袖の裾を踏んでしまうと、一気に着崩れてしまいます。裾を踏む原因は、草履のサイズです。普段の靴と同じように、ぴったりのサイズを選ぶのはよくありません。
草履の台からかかとが1㎝ほど、はみ出るサイズにするのがポイントです。草履を履いていると痛みを感じる方も多いと思います。痛い場合は無理せず、鼻緒を少し引っ張ってゆるめましょう。通常はすぐに脱げないよう、きつめに作られているため、ゆるめすぎには注意が必要です。
【パターン別】着崩れの対処法
もし成人式や出先の会場で振袖が着崩れたら、慌ててしまったり、不安になったりしてしまうでしょう。対処法を知っていれば、当日も余裕をもって楽しく過ごせます。
ここでは、よくある着崩れの場面別に対処法を解説していきます。
衿元のゆるみ
振袖を1日中着ていると、衿元が自然に開くことがあります。衿元のゆるみは、晴れ姿に下品な印象を与えてしまいます。顔にも近く、目につきやすいため、常に整った衿元にしておきましょう。
・方法
まず左の身八口(みやつくち)から左手を入れます。下前の衿先を軽く引き、左脇に挟みます。次に上前のたるみを指先で右側に寄せ、帯の下にある衿先を少し引きましょう。最後におはしょりを整えれば、ゆるみのない衿元になります。
胸元や脇まわりのたるみ
振袖の多くは、胸元にメインになる大ぶりの柄や差し色が取り入れられています。胸元や脇まわりにたるみやシワがあると、振袖本来の美しさを引き出せていないかもしれません。対処法は、ぜひおさえておきたいポイントです。
・方法
まずは衿に沿って、人差し指を滑らせていきます。衿元のゆるんだ布地を帯まで持ってきたら、帯揚げと帯の中に押し込みます。次に押し込んだ布地の延長上にある、おはしょりを下から引っ張り、形を整えて完成です。
おはしょりの崩れ
おはしょりは振袖の長さを調整したり、衿元のゆるみをなくしたりする役割があります。さらに胴のシワを隠し、腰の形を整えてくれます。おはしょりの崩れはウエスト周りの見た目に影響します。崩れやすい部分でもあるため、対処方法を知っておきましょう。
・方法
最初におはしょりの縫い目と、上前の縫い目を合わせます。緩んだおはしょりは、帯の下に入れこみましょう。次に両手指を振袖と帯の間に入れ、左右にスライドさせていきます。たるみを脇に寄せて平らに整えると、きれいになります。整えるときは、帯から5~6㎝引き出し、平行になっているかを目安にしてください。
腰元のたるみ
成人式では座ったり、立ったりする動作が多く、お尻から腰元にかけて布地がたるんでしまいがちです。これでは美しい歩き方を意識していても、あまりよい印象に見えないかもしれません。トイレに行った際は、鏡でチェックしておくのがおすすめです。
・方法
たるんできた部分を両手でなでながら、上へ集めます。集めた布地をおはしょりの下にある腰ひもにはさみ込み、おはしょりを平らに整えて完成です。
下がった帯
華やかに結んだ帯が崩れてしまうと、だらしない印象になってしまいます。しかしボリュームがあるため、重くなり下がってしまうことも多い部分です。きつく締めた帯を自分で戻すのは難しそうですが、意外に簡単にできる対処法があります。今回は2つの方法をみていきましょう。
・方法1
まず帯の下に両手を入れ、上へ強く持ち上げます。これにより帯が動きやすくなります。次に上から帯をつかみ、正しい位置に戻します。ポイントは上下から力を加えること。自分でも簡単に帯の位置を調整しやすくなります。
・方法2
タオルハンカチを使い、さらに手軽に帯の位置を調整する方法もあります。最初に、両手を帯の下に入れて引き上げます。次に帯の下にできたすき間に、タオルハンカチを差し込みましょう。ゆるみがなくなれば完成です。
上前が下がった
振袖の正面になる上前は、チェックしておきたい身だしなみのポイント。さらに上前が下がると、裾を踏みやすくなってしまいます。もし裾を踏んでしまうと、さらに着崩れる原因にもつながります。
・方法
おはしょりの下から上前の衿先を持ち上げます。下がった分の布地は腰ひもの中に入れ込み、上前の裾をちょうどいい長さにして完成です。
1日中美しい着姿を保つために
振袖を着こなすためには、着付けや準備のポイント、着崩れの対処法の2つを把握しておくことが大切です。これらを身につけておけば、1日中美しい姿を保てるでしょう。しかしさらに、美しさを長持ちさせるポイントがあります。
それは、所作を意識することです。振袖に合う可憐な動きは着崩れが防止でき、上品な雰囲気を生み出します。着崩れへの対策を万全にして、周りとは違った大人の余裕と美しさを手に入れてください。
歩き方
大股になると裾が崩れやすくなり、着崩れの原因になります。普段よりも半分くらいの歩幅で、歩くことを意識しましょう。優しく音を立てないイメージをもつのが、ポイントです。さらに内股気味に足を運ぶと、より品のある歩き姿になります。
階段の昇降
階段は特に裾を踏みやすい場面。着物を着た経験のある人は、ヒヤッとしたことがあるのではないでしょうか。裾を踏んでしまうと、一瞬で着付けが崩れ、これまでの準備が水の泡になってしまいます。右手でわき線(裾)を少し上げて、昇り降りするのがポイントです。裾を上げすぎて足袋や足が見えてしまうと、下品な印象になってしまうので注意しましょう。
トイレ
トイレは避けて通れない場面です。最近は和式のトイレが少なくなっていますが、振袖のときは洋式トイレを選ぶのがベストです。振袖の裾、長襦袢の裾、裾除けを1枚ずつ広げて、しっかりと上げましょう。クリップなどで帯にはさむと楽になります。用が済んだら、広げたときとは逆の順番で、1枚ずつおろしていけばOKです。